フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
両方の頬を挟み込むようペシッと叩き、気合いを入れた。すると少しだが気分がすっきりし、ポジティブに行けそうな気がした。
 午前6時30分、母が起きてきた。
「あら、もう起きていたの?」
「うん。今日勇太君と7時30分に学校で会う約束をしたんだ」
「あら、いいわねー。朝早くからイケメンを拝めるなんて」
「うらやましいでしょ?」
「ええ、うらやましいわ。生であんなにスゴイイケメン拝める機会なんてそうそうないもの」
ブログについては杉山先生のチェックが入ってから、学校から連絡が入ってもいいよう、母に見せていた。
「お母さんのパート先では合わないの?弁当屋だから、私と同い年ぐらいの男子、いっぱい買いに来るでしょ?」
「それが残念な事に、若くてイケメンの男子はほとんど夕方か夜に来るのよね。お母さんが働いている日中は、かわいいおじいちゃんか、加齢臭とタバコの匂いがプンプンする魅力的じゃないおじさんばかり。たまーに若い男の子が買いに来てくれるけど、なぜかチャラチャラしているの。お母さん、チャラチャラしている子、嫌いなのよね」
「あ、チャラい男ってイヤだ」
「ほら、なかなかステキなイケメンになんて会えないでしょ?」
「まーねー。…って事は、私は恵まれている?」
「ええ、そうよ。すっごく恵まれている!ありがたいと思いなさいよ!」
「はーい」
私はルンルンした気持ちでパソコンへ向き直ると、残りの書き込みをチェックした。午前6時40分に全て目を通し終えると、朝食の準備を手伝った。午前6時50分から食べ始め、午前7時10分に食べ終えれば、使った食器をシンクの中に入れ家を出る事にした。
「いってきまーす!」
「イケメン君に、よろしく!」



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