フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
家を出ると、外は薄曇りだった。空気は少しヒンヤリしていて、ご飯を食べてボーッとした頭を覚ますにはちょうど良かった。愛車の自転車に乗り軽快にペダルを漕ぐと、勢い良く進んだ。通い慣れた町並みが流れるように動いていく。
 何十回も何百回も目にした光景なのに、今日はなぜかとても輝いて見えた。『自分は恵まれている』そう思った事がよかったのかもしれない。
(こんなささいな事が人生を楽しくするなんて知らなかった。母さん、なかなかやるじゃない!)
今度こそ、本当に良いことが起きそうな気がした。
(麗、今日こそ来るといいな…)
そしてそれは、現実になろうとしていた。
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