フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

サプライズ

　すこぶる順調に学校に着くと、正門まで残り１００メートルのストレートコースで異変に気づいた。あきらかに昨日と違うのだ。
（何でだろう？…絶対、何か違うんだよな。何が違うんだろう？）
自転車を漕ぐ速度を『ゆっくり』に落とし、両方の道ばたに経つ女の子達を観察した。どの子もまだ朝の７時３０分だと言うのに、ヘアーもメイクもファッションもバッチリ決まっている。まるでこれからデートにでも行くようだ。
　もちろん、私は彼女達の正体を知っている。勇太を一目見ようと待っている女の子達だ。おそらくブログを見てやって来たに違いない。
（あっ！あのボブヘアーがよく似合っている女の子、ブログを立ち上げた翌日の朝から毎日来ている子だ。うわー、今日も来ているんだ。すごいがんばっているなぁ。私だったら出来ないなぁ）
そして反対側を見る。
（あっ！あのお嬢様風の、巻髪がキッチリ決まっている子。あの子もさっきの子と同じで、ブログを立ち上げた翌日の朝からいるよね。彼女の着ている制服って、超お嬢様学校のＥ女子校だよね。すぐ近所にエリート男子校のＦ校があるのに、そっちじゃなくて勇太君が来るのを待ってアピールしようとしているってことは、あんまり良い男いないのかな？）
色々考えつつ、異変の原因を探った。
　すると、ようやくある事に気づいた。
（男子だ！男子が沢山混じっている！勇太君の追っかけ女子に混じって、沢山男子がいる！）
そして、さらに重要な事に気づいた。
（男子も女子も手に携帯電話を持っている。それも、これからすぐ写真を撮れるよう開いたままで。女子は勇太君が来たら撮るつもりだよね？…もしかして男子も？彼らは今流行りの『オネエ系』って言う人種？えーっ！でも、アソコにいる男子、アイドル並にイケメンだよ。普通に生活しているだけで女子がワラワラ寄って来そうだよ。まあでも、この世は自由恋愛だから、私がとやかく言うことではないか。…いやでも、もったいないなぁ。絶対、女子にモテるでしょ）