フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
とたん、私はある人の顔を思い出した。その人の事は良く知っている。1年生の時からの付き合いだから。
 しかし私は信じられず、食い入るように勇太の顔を見た。
「もしかして、その人って…」
「噂をすれば、解答がやって来たよ」
「解答?」
勇太の手に導かれるよう後ろを振り向くと、そこには予想通りの人が立っていた。だが私はやっぱり信じられず、息を止め食い入るように見た。
『美羽ちゃん、どうしたの?解答って、何?』
すると突然、携帯電話から琴美の声が聞こえてきた。通話中だったのを忘れ、勇太と話していた。
『ねえ、どうしたの?急に黙って』
「あのね」
『うん』
「私の目の前にね」
『うん』
「麗が、いるの」
『麗ちゃんが!学校へ来たの?』
「うん。麗、学校へ来たの…」
そこで私は言葉を詰まらせた。やっとちゃんと話せる機会が訪れたのに、この後一波乱あるかもしれないと思うと、喜びより恐怖が優ってしまった。勇太はそんな私の思いに気づいたのか、私の手から携帯電話を撮ると琴美に大切な事を言った。
「学校の裏側にある川の側にいるんだ。誰にも気付かれないよう、今すぐ来てくれるかな?」
『もちろん!』
琴美は返事をするやいなや、通話を切った。私は『麗と仲直りするチャンスはこれが最後かもしれない』と思った。
< 180 / 200 >

この作品をシェア

pagetop