フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
なぜなら、とうとう授業開始を知らせるチャイムも鳴ったから。高校生の仕事は勉強なのに、ここにいる4人はまったくやる気がなかった。そして誰もそのことを気にしていなかった。
―今は友情を深める事に夢中だった。―
かくして私と琴美は、奇跡を目撃する事となった。
一つ事態が好転すると、色々うまくいくらしい。これまで乗り越えられないと思っていた高い壁も、神様がパワーをくれたようで、曲芸師のごとくヒョイと乗り越える事ができそうだった。
なぜそう実感したのか?『親のカタキ』とばかりに勇太を恨んでいた麗が、笑顔で勇太に近付いていったから!
もちろん私は目をこすった。ゴシゴシとこすった。コンタクトを入れていない事もあるが、確認するよう何度もゴシゴシとこすった。
だって信じられなかった。麗がニラむ事しかなかった相手に、親友もめったに拝めないような素晴らしい笑顔を向けて歩み寄っていくなんて。
(悔しいけど、今の勇太君と麗、とても絵になっている。さすがイケメンと美女!映画監督なら、ぜひ撮りたいだろうな)
冗談抜きで思った。
私の心を知ってか知らずか、麗は勇太の目の前で立ち止まり、肩にかかった自慢のストレートヘアーをカッコ良くかき上げた。小首をかしげれば、斜め下から勇太を見た。勇太はその視線を堂々と真正面から受けた。動揺している様子はない。
私と琴美はゴクリを唾を飲み込み、様子を見守った。これまでの展開を思うと、激しくぶつかり合う事になる。衝突は避けられなかった。
しかし麗は不満をぶつけたりせず、静かなまなざしで勇太を見つめ続けた。
「私、あなたが嫌い」
(・・・!)
琴美と私は、一瞬麗の言葉に硬直した。
(や、やっぱりケンカになる?)
「うん、わかっている」
「本能的に嫌い。理屈なんかじゃない」
「うん」
―今は友情を深める事に夢中だった。―
かくして私と琴美は、奇跡を目撃する事となった。
一つ事態が好転すると、色々うまくいくらしい。これまで乗り越えられないと思っていた高い壁も、神様がパワーをくれたようで、曲芸師のごとくヒョイと乗り越える事ができそうだった。
なぜそう実感したのか?『親のカタキ』とばかりに勇太を恨んでいた麗が、笑顔で勇太に近付いていったから!
もちろん私は目をこすった。ゴシゴシとこすった。コンタクトを入れていない事もあるが、確認するよう何度もゴシゴシとこすった。
だって信じられなかった。麗がニラむ事しかなかった相手に、親友もめったに拝めないような素晴らしい笑顔を向けて歩み寄っていくなんて。
(悔しいけど、今の勇太君と麗、とても絵になっている。さすがイケメンと美女!映画監督なら、ぜひ撮りたいだろうな)
冗談抜きで思った。
私の心を知ってか知らずか、麗は勇太の目の前で立ち止まり、肩にかかった自慢のストレートヘアーをカッコ良くかき上げた。小首をかしげれば、斜め下から勇太を見た。勇太はその視線を堂々と真正面から受けた。動揺している様子はない。
私と琴美はゴクリを唾を飲み込み、様子を見守った。これまでの展開を思うと、激しくぶつかり合う事になる。衝突は避けられなかった。
しかし麗は不満をぶつけたりせず、静かなまなざしで勇太を見つめ続けた。
「私、あなたが嫌い」
(・・・!)
琴美と私は、一瞬麗の言葉に硬直した。
(や、やっぱりケンカになる?)
「うん、わかっている」
「本能的に嫌い。理屈なんかじゃない」
「うん」