フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
ふいに、緩やかに風が吹いた。風は私と勇太の髪を揺らし、頬をそっと撫で、静かにいなくなった。しかし私のドキドキまでは連れて行ってくれなかった。今にも体中から火が出そうだった。
「告白って、何について?」
声を絞り出し、ようやく聞いた。すると勇太は愛おしそうに目を細め、小さくため息をついた。
「村瀬さん、君の気持ちはとてもストレートだ」
「えっ?」
「ストレート過ぎて、あまりにもまっすぐで、俺は避けることができなかった。受け取るしかなかった」
「受け取る?」
「そう」
とたん、勇太は押し黙った。瞳に悲しみの色がにじむ。
「でも、俺のせいで沢山苦しい思いをさせてしまったね。悲しい思いをさせてしまったね」
「ううん。麗との事は私が選んだ事だから。勇太君には関係ないよ。気にしないで」
「気にするさ。これ以上、村瀬さんに迷惑をかけたら嫌われてしまうから」
「そんな事ないよ。勇太君は十分ステキだから、ちょっとくらい失敗しても許せるよ」
「ちょっとだろ、沢山じゃない」
「あれ?今日はどうしたの、ずいぶん弱気だね」
「弱気にもなるさ。すでに大きな傷を負わせたんだ。これ以上傷つけたら致命傷になる」
「…なんだか、私に嫌われるのがイヤみたいに聞こえるよ」
「うん、イヤだよ」
「・・・!」
再び勇太の瞳に強い意志が宿った。
「村瀬さん」
「は、はい」
「君が…好きだ」
「・・・!」
「辛い思いをさせた罪滅ぼしなんかじゃない。ちゃんと君が好きなんだ」
「本当…に?」

< 191 / 200 >

この作品をシェア

pagetop