フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
(やっぱ『せんぱぁーい、おっはよぅございまぁーす!』って、ブリブリしないとダメなのかなぁ。所属しているバドミントン部の一番人気、愛理(あいり)は、顔がかわいいからモテるのはわかるけど、二番人気の萌はお世辞にもかわいいなんて言えない。顔なんて並以下だもん。でも、男子にはモテモテ。みんな血眼になって取り合っているもんね。そんな萌は、いっつも男子の前でブリッ子してる。モテる理由はそこにあるとしか思えない!)
駐輪場に自転車を止めると、三回くらい周りに人がいないかを確認した。フゥと息を吐くと、萌のように胸の前で腕を組み内股にし、上目使いで『おっはようございまぁーす!』とためしに言ってみた。モテたくて、死ぬ気でやった。
 とたん、全身が身震いした。
(キモッ!五回目の挑戦だけど、やっぱりダメ。耐えられない!私には合わない!)
やっぱり挫折。ブリッ子作戦はどうしてもやれそうになかった。
 テンションがかなり下がったまま教室へ入ると、いつになくザワザワしていた。
 休み明けなので、久々に友達に会い嬉しくて会話が盛り上がるのは当然だ。必然的にザワつくのだが、普段より格段にザワついている気がした。…それも女子ばかり。女という生き物は、群れを作りしゃべり倒す修正を持っているが、それにしても今日はにぎやかな気がした。
(なんか、あったのかな?)
男女織り交ぜて、仲良くしている知り合い何人かに挨拶すると、親友である田畑琴美(たばた ことみ)と高嶋麗(たかしま れい)の所へ行った。
 麗とは高校に入ってから同じバドミントン部に入ったのがきっかけで、琴美とは小学生時代からウマが合い仲良くしている。苦楽を共にした大切な仲間だ。これからもそうしたいと思っている。
「おはよう、琴美、麗」
「おはよう、美羽ちゃん!」
先に言ったのは後ろの席に座る琴美だった。聖母マリアのような優しい笑顔で振り向いたとたん、グラビアアイドル並のたわわなFカップバストがブルルンと揺れた。いつもながら、うらやましい限りである。
 



< 2 / 200 >

この作品をシェア

pagetop