フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「いいよ。さ、行こう!」
私は沈んだ気持ちを振り払うよう元気に歩いた。琴美は優しい人だから、言えばすごく心配させてしまう。とても口にはできなかった。
「ねえ、美羽ちゃん。…元気だしてね」
「え?」
「麗ちゃん、あんなに言うつもりじゃなかったと思うんだ」
私の心の中を読んだような彼女の言葉に驚き、ハッとして琴美を見た。
琴美は優しいまなざしで見ていた。私の心は、とても癒された。
「麗ちゃん、高校に入ってからずっとモテモテだったでしょう?一週間とたたずに誰かに告白されるし、登下校の時は、正門も裏門も出待ちの男の子がウジャウジャいてさ。休みの日まで追っかけてくる人がいて、美羽ちゃん『部活ジャマされてイヤになる!』って怒っていたじゃない」
「あー、怒っていた。『麗ちゃん、ナイススマッシュ!』って叫ぶ野太い声がジャマで、練習に集中できなかったんだよね。本当、ムカツク!」
「でしょ?それが今じゃ男子の大半は勇太君のお姉ちゃんに夢中。麗ちゃんの追っかけがいなくなったわけじゃないけど、ずいぶん減ったと思うの。きっとその状態を受け入れられないんじゃないかな」
「嫉妬?だったらお姉さん本人にブツければいいじゃない。なんで勇太君にあたるワケ?」
「血のつながっている人を見ると、なんか許せなくなっちゃうんじゃないかな」
「ひっどーい!」
「男子ってけっこう一途だから、最初に『麗ちゃんが好き』って思った人は、いつか必ず帰って来ると思うんだけど、麗ちゃんはこんな事始めてだから、頭がこんがらがっちゃって冷静に考えられないんだよ。それで『勇太君のお姉ちゃんに負けた!』って思っちゃったんじゃないかな?」
「…いまだ一人の男子にさえ『美羽ちゃん、好きだ。付き合ってくれ!』って言われた事のない私からすると、贅沢な悩みだな」
私は沈んだ気持ちを振り払うよう元気に歩いた。琴美は優しい人だから、言えばすごく心配させてしまう。とても口にはできなかった。
「ねえ、美羽ちゃん。…元気だしてね」
「え?」
「麗ちゃん、あんなに言うつもりじゃなかったと思うんだ」
私の心の中を読んだような彼女の言葉に驚き、ハッとして琴美を見た。
琴美は優しいまなざしで見ていた。私の心は、とても癒された。
「麗ちゃん、高校に入ってからずっとモテモテだったでしょう?一週間とたたずに誰かに告白されるし、登下校の時は、正門も裏門も出待ちの男の子がウジャウジャいてさ。休みの日まで追っかけてくる人がいて、美羽ちゃん『部活ジャマされてイヤになる!』って怒っていたじゃない」
「あー、怒っていた。『麗ちゃん、ナイススマッシュ!』って叫ぶ野太い声がジャマで、練習に集中できなかったんだよね。本当、ムカツク!」
「でしょ?それが今じゃ男子の大半は勇太君のお姉ちゃんに夢中。麗ちゃんの追っかけがいなくなったわけじゃないけど、ずいぶん減ったと思うの。きっとその状態を受け入れられないんじゃないかな」
「嫉妬?だったらお姉さん本人にブツければいいじゃない。なんで勇太君にあたるワケ?」
「血のつながっている人を見ると、なんか許せなくなっちゃうんじゃないかな」
「ひっどーい!」
「男子ってけっこう一途だから、最初に『麗ちゃんが好き』って思った人は、いつか必ず帰って来ると思うんだけど、麗ちゃんはこんな事始めてだから、頭がこんがらがっちゃって冷静に考えられないんだよ。それで『勇太君のお姉ちゃんに負けた!』って思っちゃったんじゃないかな?」
「…いまだ一人の男子にさえ『美羽ちゃん、好きだ。付き合ってくれ!』って言われた事のない私からすると、贅沢な悩みだな」