フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
(勇太君のお世話係になったけど、大勢の女子の手前、携帯電話のメールアドレスさえ聞けないでいた。それが彼から教えてくれた!おまけに『話しがある』なんて。…もしかして、私の事『好き?』)
一気にテンションが上がり、すっかり気分はバラ色だった。『とうとう私にも彼氏ができる!』と思うと、まだ告白されてもいないのにラブラブなデートシーンを妄想し、メロメロになった。
 端から見たら、さぞやアホな女に見えただろう。しかし、それほど嬉しかった。
 私は携帯電話をスカートのポケットから勢いよく取り出すと、最高速度で勇太のメールアドレスと携帯電話の番号を打ち込んだ。つづいて勇太にメールがちゃんと届くかどうか、『初めまして』のメールを作成した。
(届いて!そして、返信がすぐ返ってきますように!)
祈りを込めて送信ボタンを押した。
 送信して5秒後、早くも勇太から返信メールが届いた。開けてみれば、タイトルが『初めまして』ではなく、『こちらこそ』になっていた。本文も、『バドミントンだけじゃなく、色々お世話になります』と、礼儀正しい文章で書かれていた。
(女の子達に追いかけたれて大変な中、題名を替えてるなんて、なんて気遣いが出来る人なのかしら!手抜きしないって事だもんね。本文もちゃんとしている!それとも、それだけ私を大事に思っているって事?)
ますます気分は盛り上がり、興奮して携帯電話を胸の前で抱きしめた。
(さっそく時間作らなくちゃ!)
色々考えた末、今日のお昼休みに会うことにした。勇太にメールを送れば、『いいよ、お昼休みにパソコン教室で会おう』と返してきた。
(神様、ありがとう。私、幸せになります!)
誰も見ていないのを良いことに、天井へ向かってバンザイした。今の私はこの世で一番、幸せな女に思えた。

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