フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「…ごもっともで」
図星をさされ二の句を告げられない私は、おとなしく席に座った。同時に、大きなため息をついた。
 麗が言ったとおり、彼女に教えてもらったモテ女テクニックを使ってのアタックは、全て失敗に終わった。いまだに男子とはフォークダンス以外で手を握った事がない。男子の友達は沢山いるが、誰も私を女子として見てくれない。単なる『友達』だった。
(いったい何がいけないんだろう?たしかに麗のような美貌はないけど、私にだって良いところはあるはず。一人くらい私を好きになってくれる人がいてもいいのになぁー)
考えていたら、どんどん気分が沈んでいった。奇跡でも起きない限り、彼氏などできない気がした。
「それにしても、今日の女子、本当に生き生きしてるねぇ」
「ハーフがそんなにいいのかしら?」
「ハーフ?」
私は麗の言葉にコンマ一秒で反応した。
「そう、今日転校してくる男子って、ハーフの人なんだって」
「マジ情報なの?琴美」
「うん。情報屋コマキちゃんが持ってきたネタだから、間違い無いと思う」
コマキとは私のクラスの女子で、新聞部の部長を務めるキレ者だ。とても好奇心旺盛で、一ミリサイズの情報でも真新しさを感じれば、メモ帳とボールペンを持って取材しにすっ飛んでいく。将来の夢も、もちろん新聞記者。周囲の者も必ずなると思っている。ちなみに彼女は今、一番窓側の最前列の席に陣取り熱弁を振るっていた。お題は当然、本日来る転校生について。
 そんな彼女の持ってきた情報だ。ガセであるハズがない。信憑度99.9%だ。
「どことどこのハーフなの?」
「えーっと、どこだっけなぁ…。たしかお父さんがアメリカ人で、お母さんが日本人だったと思ったけどなぁ」
「理想的な組み合わせじゃない!髪と瞳の色は黒か焦げ茶で、肌は白人よりの白。でも背は高めで足も長い。くぅーっ、たまらない!」




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