フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「そうかしら。ハーフだから全員美男子とは限らないわよ。母親のおなかの中で配合に失敗して、この世の者とは思えない不細工が産まれるかもしれないでしょ」
「そんなことないわよ。私が見たことあるハーフの人って、みんな美人かイケメンだったもん!」
「みんな?どこで見たのよ」
「テレビ!」
「やーれやれ。すっかりメディアに踊らされているわね」
「踊らされていないわよ!私だって、ちゃんと勉強しているんだから!」
「だいたい、テレビに出ているハーフの人って、視聴者に夢を見せるためにイケメンか美女しか選んでいないのよ。配合に失敗した『ガッカリ系』は無視しているのよ」
「だからって今回来る男子がガッカリ系とは限らないでしょ。コマキちゃんは『イケメン』だって言ってるし」
「コマキだって人間でしょ。間違ってガセネタをつかんでくる可能性もあるわ」
「麗はコマキちゃんを信じないって言うの?」
「自分の目で確かめるまでは信じない、って言っているの」
「どうしてそう、いつもへそ曲がりなの?たまには素直に信じなさいよ」
「ヘソが曲がっているんじゃなくて、私は現実を見たいといっているの。リアリストなの。美羽こそ人の話を信じてばかりいたら、ダマされて痛い目にあうわよ」
「何ですって!」
「まあまあ」
私達の様子を見かねた琴美が仲裁に入った。
「美羽ちゃん落ち着いて。麗ちゃん、もうちょっと優しく言ってよ」
「私は美羽を気遣って言っているの。良い人ほどバカを見るから」
「でも、言い方があるでしょ!」
「美羽ちゃん、食ってかかんないの。よけいこじれるでしょ。麗ちゃん、私が今言ったこと聞いていなかった?言い方に気をつけて。ケンカを売っているつもりがなくても、見ている方は売られているようにしか感じないよ」





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