フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「でも俺の目の前で、村瀬さんと高嶋さんが仲良く話しているところを見たことは一度もない。俺のせいでないと言うのなら、仲良くしている場面に出くわしてもいいはずなのに」
ドキッ、図星だ。
「俺のために親友と仲が悪くなってしまった村瀬さんを見ると、心が痛い。このままでいいわけがない」
「・・・」
「だから、これからは俺をかばわなくてもいい。高嶋さんが何か言っても、知らないふりをして。俺は一人でなんとかするから」
「そんな!イジメている現場を目撃して知らないふりをするなんて。そんな冷たい事できない!」
「けどまた俺をかばったら、高嶋さんとケンカする事になる。二人の仲はどんどん悪くなっていくよ」
「悪くなったっていい!」
「村瀬さん…」
「目の前でイジメられている人がいるのに見て見ぬふりをするなんてできない。そんなの弱虫のすることだよ」
「村瀬さんは高嶋さんと友達じゃなくなってもいいの?」
「それは、困るけど…」
「おそらく高嶋さんは、生理的に俺を受け付けないんだと思う。だから、どんなに理屈を並べても、彼女は俺を受け入れない。いや、受け入れられないと思う」
「そう、かなぁ…」
「そうだよ」
勇太はジュースを一口飲むと、フゥとため息をついた。瞳に意思を宿せば、まっすぐに私を見た。
「今までありがとう。本当に助かったよ」
「助けただなんて。たいした事もしていないのに」
「明日からは、もう俺をかばわないで。バドミントンの方も、自分で何とかするから」
「で、でも、わからないことがあったらどうするの?」
「男子部員の誰かに聞くさ。高嶋さんも、それなら文句を言わないだろ」


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