フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
『考えすぎ』『高校じゃ、十分通用しているの!』と必ず言い返す。結果、口げんかはさらにヒートアップし、いつも『うるさい!』とご近所から通報されそうな大声でののしりあった。あまりの激しさに、仲裁に入った父さえ止める事ができず、プチ家出をした。
(大恋愛の末、さっくり結婚適齢期に結婚して、その後もラブラブな日々を送っている母さんにモテない私の気持ちなんかわかるもんか!この苦しい気持ちは琴美に聞いてもらうしかない!)
夕飯の事はすぐに忘れ、勢いにまかせベッドの上にバッグを放り投げた。麗との一件もありかなりムシャクシャしていたので、バッグはベッドの上を通り過ぎ、バンッと音をたてて壁に当たった。そして情けなくボトリとベッドの上に落ちた。おかげでちょっと気分がスッキリした。
 しかし突然部屋のドアが開き、眉間にシワを寄せた母が顔をのぞかせた。
「ちょっと、壁が壊れるでしょ!」
「ごっ、ゴメンなさい…」
さすがに『やりすぎた』と反省した。
 夕飯を早めに食べ終えると、急いで部屋に飛び込み携帯電話を握りしめた。母にお風呂に入るよう言われたが、どうしても琴美にグチを聞いて欲しくて、せめてもとメールを打つことにしたのだ。電話だと長くなりそうだったから。
 私は無我夢中でメールを打った。気が付けば、上限1000字のところ、ほぼ満杯になっていた。
(うげっ、998字。打ったなー)
こんなに長くては、いくら優しい琴美でも呆れて読んでもらえない。私は反省すると打ち直し、300字まで減らした。そして、ようやく送った。
(あー、スッキリした。じゃあ、お風呂でも入ってくるか)
着替えの下着やパジャマを持ち、意気揚々と風呂場へ向かった。しかし風呂場にはすでに電気がついていて、誰かが入っているようだった。
(もしかして…母さん?)
洗濯物を入れるカゴの中を見れば、さっきまで着ていた服が入っていた。私はちょっとイラッとしてドアを開けた。

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