フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
(今日はせめて『おはよう』くらい言ってもらおうと思ったのに、きっかけさえつかめなかった。惨敗だ。麗に話しかけた後、勇太君にも話しかけようと思っていたのに、まったく気力が残っていない。全部取られちゃった)
「美羽ちゃん、大丈夫?」
「あっ、琴美。うん、大丈夫だよ」
顔を慌てて上げ振り返ると、後ろに座っていた琴美が心配そうな顔で見ていた。私は心配をかけまいと、無理に笑った。
「もう大丈夫だよ。本当に」
「元気出してね」
「言われなくても元気だよ。チョーハツラツゥー!」
しかし琴美は心配そうな表情を崩さない。まるで私の心を見透かしているかのように。
「私の前では、無理しなくていいからね」
「う、うん。もちろんだよ!」
「苦しくてガマンできなくなったら、すぐ言って。聞いてあげるから」
「よろしくー!」
「授業くらいサボってもいいよ。私はずーっと、美羽ちゃんの味方だからね」
ふいに目頭がジン…とした。悲しみにうちひしがれた心に、琴美の優しさが染み渡る。
「うん、ありがとう」
「あっ、先生来た!じゃ、また後で」
「また後で」
笑顔で前を向くと、みんなにわからないようこっそり涙をぬぐった。
その後、幾度となく麗に声をかけたが失敗。野望は早くも打ち砕かれそうだった。
(やっぱり愛と友情、両方手に入れるのは無理なのかな?)
自信もやる気も失いかけた私は、呆然としたまま体育館へ向かった。この後部活をする予定だが、とても身が入りそうになかった。
「美羽ちゃん、大丈夫?」
「あっ、琴美。うん、大丈夫だよ」
顔を慌てて上げ振り返ると、後ろに座っていた琴美が心配そうな顔で見ていた。私は心配をかけまいと、無理に笑った。
「もう大丈夫だよ。本当に」
「元気出してね」
「言われなくても元気だよ。チョーハツラツゥー!」
しかし琴美は心配そうな表情を崩さない。まるで私の心を見透かしているかのように。
「私の前では、無理しなくていいからね」
「う、うん。もちろんだよ!」
「苦しくてガマンできなくなったら、すぐ言って。聞いてあげるから」
「よろしくー!」
「授業くらいサボってもいいよ。私はずーっと、美羽ちゃんの味方だからね」
ふいに目頭がジン…とした。悲しみにうちひしがれた心に、琴美の優しさが染み渡る。
「うん、ありがとう」
「あっ、先生来た!じゃ、また後で」
「また後で」
笑顔で前を向くと、みんなにわからないようこっそり涙をぬぐった。
その後、幾度となく麗に声をかけたが失敗。野望は早くも打ち砕かれそうだった。
(やっぱり愛と友情、両方手に入れるのは無理なのかな?)
自信もやる気も失いかけた私は、呆然としたまま体育館へ向かった。この後部活をする予定だが、とても身が入りそうになかった。