フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「ちょっと、明石君。それヒドすぎ!」
「だって世話係に任命されたのって、『色気がないから、勇太を誘惑しない』って理由からだろ?なのにクビにされたって事は、少なからずも色気があったってことだ」
「それ言ったのは新垣君で、勇太君じゃないから!」
「あれ、そうだっけ?」
「そうだよ。ちょっと、しっかりしてよ!チョー重要なんだから!」
「まあまあ、落ち着いて」
「落ち着いていられるワケがないでしょ!私にとっては、死活問題なんだから!」
とたん、周りで見ていたメンバーがしゃべり出した。
「明石、確かにマジでヒドイ。ちゃんと村瀬に謝れよ」
「そうだそうだ。フラれぐせがついて連敗から抜け出せなくて困っているのに、傷口に塩を塗るなんて悪党だ」
「本当、筋金入りですね」
「エンマ大王に舌を抜かれるぞ!」
困っている私を見かね援護射撃をしてくれたメンバー。根は良い奴ばかりだ。
「みんなもこういっている事だし、さあ、謝ってちょうだい明石君」
「えーヤダよー」
「ヤダじゃないでしょ。勘違いした上に、私に恥をかかせたのよ。女にだってプライドがあるんだから。傷つけたら謝るのが筋ってもんでしょ」
「でもヤダよぉ。特に村瀬はヤダ」
「明石君!」
「…ゴメン」
「・・・!」
突然、誰かが言った。周りを見れば勇太が頭を下げていた。
「元はと言えば、俺がみんなに状況を説明しなかったから、混乱させることになったんだ。ゴメン」
「ゆ、勇太君は悪くないよ」
「でも、村瀬さんに色々と問題が起きているのは、俺に原因があるのは確かなんだ」
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