フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
ふいに勇太の声がした。見れば、彼が心配そうな顔で私を見ていた。汗ふき用にと持ってきたタオルまで差し出してくれていた。
気が付けば、私はボロボロと涙を流していた。大粒の涙を流していた。麗に絶交宣言をされ、あまりのショックに涙を流していることさえ気づいていなかった。
「うっ…」
とたん、濁流のような悲しみが押し寄せてきた。視界は一気に涙の滝で覆われ、色んな物がかすんで見えた。
「うっ、ううーっ!」
勇太のタオルを受け取ると、そのまま顔を押しつけ泣いた。こみ上げる悲しみそのまま、泣き続けた。人目を気にする余裕はない。胸に貯まったショックを吐き出すので精一杯だった。
「村瀬、少し休んでいろ」
「あらっ、がきっ」
「練習の事なら気にするな。今、村瀬に必要なのは練習じゃなくて休憩だから」
「いい、のっ?」
「ああ」
私は『ありっ、がとっ』と涙声で言うと、体育館の玄関へ向かって全力で走った。さっき麗は校舎へ通じる出入り口から飛び出して行った。だから、体育館の玄関にはいないと思ったのだ。
玄関に着くと、麗どころか人っ子一人いなかった。どの部の部員も練習の真っ最中で、サボっている人は誰もいなかった。
玄関の右側端っこに腰を下ろすと、私は再び泣いた。まだまだ悲しみは癒えていない。余裕で波打つほど貯まっていた。
頭の中に、これまで麗と積み上げてきた日々が蘇った。楽しい時も苦しい時も、麗と一緒に過ごしてきた。ケンカした時だってもちろんあったが、ちゃんと仲直り出来た。次の日からは、何事も無かったかのように、親友として濃厚な日々を過ごした。
しかし今回は違う。カンタンに直せないほど溝は深く、仲直りなど二度と出来ない気がした。
気が付けば、私はボロボロと涙を流していた。大粒の涙を流していた。麗に絶交宣言をされ、あまりのショックに涙を流していることさえ気づいていなかった。
「うっ…」
とたん、濁流のような悲しみが押し寄せてきた。視界は一気に涙の滝で覆われ、色んな物がかすんで見えた。
「うっ、ううーっ!」
勇太のタオルを受け取ると、そのまま顔を押しつけ泣いた。こみ上げる悲しみそのまま、泣き続けた。人目を気にする余裕はない。胸に貯まったショックを吐き出すので精一杯だった。
「村瀬、少し休んでいろ」
「あらっ、がきっ」
「練習の事なら気にするな。今、村瀬に必要なのは練習じゃなくて休憩だから」
「いい、のっ?」
「ああ」
私は『ありっ、がとっ』と涙声で言うと、体育館の玄関へ向かって全力で走った。さっき麗は校舎へ通じる出入り口から飛び出して行った。だから、体育館の玄関にはいないと思ったのだ。
玄関に着くと、麗どころか人っ子一人いなかった。どの部の部員も練習の真っ最中で、サボっている人は誰もいなかった。
玄関の右側端っこに腰を下ろすと、私は再び泣いた。まだまだ悲しみは癒えていない。余裕で波打つほど貯まっていた。
頭の中に、これまで麗と積み上げてきた日々が蘇った。楽しい時も苦しい時も、麗と一緒に過ごしてきた。ケンカした時だってもちろんあったが、ちゃんと仲直り出来た。次の日からは、何事も無かったかのように、親友として濃厚な日々を過ごした。
しかし今回は違う。カンタンに直せないほど溝は深く、仲直りなど二度と出来ない気がした。