フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
しかたなく勇太をチラリと見て言った。自分で言うのもなんだが、すごく怪しい。もし自分が勇太なら、何か嫌な事をしただろうか?と心配になるだろう。
 案の定、勇太は眉間にシワを寄せ、不安そうな顔をした。側にいた他のバドミントン部員も、釣られるよう不安そうな顔をした。『また問題が起こるのだろうか?』と半分ウンザリしているに違いない。
「あの…俺、何か嫌な事をしたかな?」
「う、ううん。していない。ぜんぜんしていないよ!」
「そう?よかった。俺を避けているみたいに感じたから、安心したよ」
ドキッ、図星だ。
(そう言う、日本人だと心の中で呟きそうな事をストレートに言うあたり、外国育ちだよね)
逃げられない状況に追い込まれ、やむなく真正面から勇太を見た。無理に笑っても見た。ますます顔が赤くなったが隠せない。
「そうよ、避けていないわよ、ぜんぜん!」
「なんか顔が赤くない?もしかして…カゼひいた?」
「まさか!チョー元気だよ!」
「本当だ、顔赤い!」
「美羽、今日色々大変だったから、知恵熱が出たのかもよ」
「そうだよ。あれじゃ、私でも熱が出そうだもん」
「いや、ち、違うよ。本当に元気なんだって!」
すると突然、誰かの手が私の額に触れた。とても大きい手だ。手を辿り主を捜せば、触れていたのは勇太だった。
(ゆ、勇太君!)
愛しい彼に再び触れられ、嬉しさのあまりますます熱が上がった。
「うわっ、スゴイ熱!何で今まで黙っていたんだ?」
「いや、その…また迷惑かけるの、申し訳ないと思って」
『恥ずかしさ』と『嬉しさ』のあまり熱が出たとは、とても言えなかった。
「美羽、大丈夫?家の人に迎えに来てもらったら?」

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