フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「熱があるんだから無理するなよ。それに、本当は帰らなきゃならないのに、誰かを助けに行くんだろ。手伝ってあげるよ」
「うーん…」
「ほら、待っているんだろ」
「うん」
なかなか『イエス』と言えずにいたら、勇太はせかすように荷台を叩いた。
「乗って」
「じゃ…お願いします」
おそるおそる荷台に乗ると、おそるおそる勇太の腰につかまった。彼の体温をじんわりと感じた。
「もっとしっかりつかまって。落ちるよ」
「はい」
彼の広い背中に頬を寄せ、抱きつくよう腰に手を回した。すると再び彼の体温を感じ、嬉しさと恥ずかしさで真っ赤になった。自転車まで真っ赤になった気がする。
(もう死んでもいい。悔いはない!)
それくらい幸せだった。1日のうちに2度も触れることができるとは思っていなかったから。
「じゃ、出発するよ」
間もなくして、勇太はペダルをこぎ出した。自転車はゆっくりと動き出し、じょじょにスピードを上げた。
私は同級生と目を合わさないよう下を向いた。彼女達は全員、間違いなくうらやましそうに見ているだろう。
(ごめんなさーい!元気な事を正直に言えず、ごめんなさーい!)
面と向かって言えないので、心の中で謝った。
「ところで、どこへ行くの?」
「えっ?ああ。琴美の家だよ」
「琴美?…ごめん、名字なんだっけ?」
「田畑だよ。田畑琴美」
「田畑さんか。村瀬さんといつも仲良くしている人だよね」
「うん。私の大親友だよ」
「そっかー。それは絶対助けにいかないとダメだね」
「うーん…」
「ほら、待っているんだろ」
「うん」
なかなか『イエス』と言えずにいたら、勇太はせかすように荷台を叩いた。
「乗って」
「じゃ…お願いします」
おそるおそる荷台に乗ると、おそるおそる勇太の腰につかまった。彼の体温をじんわりと感じた。
「もっとしっかりつかまって。落ちるよ」
「はい」
彼の広い背中に頬を寄せ、抱きつくよう腰に手を回した。すると再び彼の体温を感じ、嬉しさと恥ずかしさで真っ赤になった。自転車まで真っ赤になった気がする。
(もう死んでもいい。悔いはない!)
それくらい幸せだった。1日のうちに2度も触れることができるとは思っていなかったから。
「じゃ、出発するよ」
間もなくして、勇太はペダルをこぎ出した。自転車はゆっくりと動き出し、じょじょにスピードを上げた。
私は同級生と目を合わさないよう下を向いた。彼女達は全員、間違いなくうらやましそうに見ているだろう。
(ごめんなさーい!元気な事を正直に言えず、ごめんなさーい!)
面と向かって言えないので、心の中で謝った。
「ところで、どこへ行くの?」
「えっ?ああ。琴美の家だよ」
「琴美?…ごめん、名字なんだっけ?」
「田畑だよ。田畑琴美」
「田畑さんか。村瀬さんといつも仲良くしている人だよね」
「うん。私の大親友だよ」
「そっかー。それは絶対助けにいかないとダメだね」