フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
しかし琴美は納得していない。私の額に手を当てると、反対側の手で自分のおでこを触った。
「そうだね。少し熱があるみたい」
「まだ部活が終わって間もないから、体がほてっているんだよ」
「それだけじゃないよ、村瀬さん。今日色々あったのもあると思うよ」
「どういう事?」
「あっ、えっとー」
突然麗の話しへ戻り、私はギクッとした。ただ琴美も親友だから、いつかは知らなければならない事実である。
(今私がしゃべらなくても、明日学校へ行けば、きっとわかるだろう。麗は部活中に大勢の前で宣言したんだもの。私が言わなくても、誰かが琴美へ言うに違いない。それって、私の口から聞くよりショックだよね。大事な事だもの。これは覚悟を決めていうしかない!)
やむなく意を決すると、大きく息を吐き出した。琴美は心配そうな顔で見ていた。
「あのね。ショック、受けないでね」
「な、何かあったの?」
「今日、部活中にね」
ふいに、私の目頭が熱くなった。鼻の奥がツンとした。やっと収まったと思った悲しみが、また溢れてきた。
「麗に、絶交されたんだ」
「えっ?」
言ったとたん、涙がこぼれそうになった。それをあちらこちらと見たり、鼻をすすったりして、呼吸を整えた。
「私が悪かったの」
「・・・」
「ちゃんと麗に許可を取らないで新垣君に色んな事を話したから、麗が怒っちゃったの。フザケンナ!って怒っちゃったの」
「色んな事?」
「うん。いっぱい、色んな事言っちゃった…」
すると琴美がギュッと抱きしめてくれた。
「大丈夫だよ、美羽ちゃん。麗ちゃんはすぐ頭に血が上るから、思わず勢いで言っちゃっただけだよ」
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