フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「そうかな?」
「そうだよ。だって美羽ちゃん、軽はずみな事言ったりしないでしょ?」
「でも麗、すっごく怒っていた。私がいなくなればいいのに、って言うくらい怒っていた」
「一晩寝れば大分落ち着くよ。明日になったら、『昨日は言い過ぎたかも』って反省して、『言ったことを取り消そうかな』って思うかもしれないよ。だから悪い方へ決めつけずに様子を見ようよ」
「…たぶん反省しないと思う。ずっと怒ったままだと思う」
「勇太君!どうしてそう思うの?」
「高嶋さんが怒ったのは、村瀬さんが俺をかばったから」
「かばう?」
「ああ。高嶋さんは本能レベルで俺が嫌いなんだ。なのに、その俺をかばったのが許せないんだと思う。友達より男を選んだのがショックなんだと思う」
「そう、なのかな…」
「さらに状況が悪い事に、新垣が高嶋さんにバドミントン部を辞めるよう言っちゃったんだ」
「言っちゃったの?」
「俺が来てからずいぶん部の空気を乱したからね。和を大切にする新垣には耐えられなかったんだと思う」
「美羽ちゃんから色々聞いていたけど、そんなにひどかったの?」
「うん、かなり」
「それは色々大変だったね。美羽ちゃん、熱も出ちゃうね」
「ごめんね、琴美。いつも何かと迷惑かけているのに、またかけちゃう」
「そんなことないよ。麗ちゃんは私の親友でもあるんだから。前にも言ったけど、一人でがんばることないよ。二人で解決しよう」
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しい」
「ううん。本当ならここで家に上がってもらって、もっとちゃんと話しを聞いてあげれたらいいんだけど。ごめんね、できなくて」
「少しでも話しを聞いてもらえて、十分嬉しいよ」
「自分をあんまり責めないでね」
< 79 / 200 >

この作品をシェア

pagetop