フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「うん」
「麗ちゃんには、今晩電話してみるね。状況が良くなるかもしれないから」
「うん、よろしく」
思わぬ形で麗と絶交した事をカミングアウトする事になったが、琴美が前向きに受け入れてくれたことで、私の心に横たわっていた悲しみも言えた。『ポジティブに問題を解決しよう』と言う気持ちにもなった。
「そうだ。今、録画してもらうためのDVDのディスク持ってくるから待ってて」
「わかった」
琴美は抱擁を解くと、軽やかな足取りで家の中へ入っていった。
「田畑さんて、優しい人だね」
「うん、すごく優しい。私、いっつも癒してもらっているんだ」
「だろうね。5分くらいしか話していない俺でも癒されているもの」
「わかる?感度良いね」
「すごく感度いいよ。友達とかと話していても、だいたい何を考えているかわかるから」
「うっそー!まるで超能力者みたい」
心の中に残っていた悲しみを吹き飛ばすよう笑っていると、琴美が駆け足で戻ってきた。手には録画用のディスクの他に、本を一冊持っていた。少し厚みがあり、内容の濃そうな本に見えた。
「おまたせ!ドラマ、これに録画して」
「オッケー!」
「それと、これ読んで」
「あっ、コシマ ヒデオだ!本なんか出していたんだ。売れっ子で忙しいだろうに、よくこんな時間あるねー」
「この本ね、コシマさんがほぼ毎日更新しているブログの内容をそのまま載せたものなの。お兄ちゃんがおもしろ半分で買ってきたんだけど、すごく面白いの。良かったら読んでみて。元気出ると思うんだ」
「うわー、ありがとう!本当、元気もらえそう!」
「ブログって、その芸能人の人がどんな風に生活しているのか?とか、今何にハマっているのか?とかわかって面白いよね」
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