フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
「勇太君、よく知っているね。さすがパソコンに詳しいだけある!」
「もちろん。アメリカは進んでいるからね。知ってて当然さ」
とたん、二人は日本の芸能人のブログについて熱く語り始めた。今すぐには終わらなさそうな感じだ。あまりの盛り上がりぶりに、琴美はおばあちゃんの看病にいかなければならない事をすっかり忘れている。
(へぇー、ブログって良く聞くけど、そんなに魅力的なんだ。私、誰のも一回も見たこと無いもんな。なんか時代に乗り遅れちゃっている感じ)
ちょっと自己嫌悪になりつつも、『ブログがどんなものなのか?』気になった。ためしとばかりに、貸してもらった本を開いた。
(へぇー)
そこには口語体で書かれたコシマ ヒデオのプライベートな日常がおもしろおかしくつづられていた。写真もふんだんに使われ、まるで絵本のようだ。
(堅苦しいものかと思っていたら、けっこう柔らかい感じなんだ。たしかにこれなら『見てもいいかな』って思う)
何ページかめくった後閉じれば、着いていた本の帯に書かれた文章を見てびっくりした。(1日に100万人がアクセスするブログ!って、一日に百万人が彼のブログを見るって事?すっごい人気だねー)
すっかり二人の話そっちのけで、本の帯に見入った。そしてふと、近所に住んでいる三つ上の幼なじみを思い出した。
(ヒロ兄、ブログつけているって言ってたなぁ。『ネタによっては、けっこう見に来る人がいるんだよ』とも言っていたっけ。『俺って、こう見えて有名人なんだぜ!』なんて大ボラも吹いていたなぁ…)
ふいに、あることをヒラメいた。かもすると、麗との関係を一気に修復できるかもしれない。
 私は息を胸一杯すうと、二人を見た。
「ねえ!」
「な、何?」
2二人はビックリして振り向いた。考えていたより大きな声で話しかけたらしい。
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