フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
大胆に宣言!
 翌日。朝張りきって起きると、いつもよりすばやく支度し、茶の間へ行った。勇太の密着取材をするため早めに学校へ行き待ちかまえていようと思ったのだ。
(一応勇太君にも早めに来るよう頼んでおいたから、人がいなくて取材しやすいと思うけど、油断できないよね。どこからファンがわいてくるかわからない。気を引き締めていこう!)
鼻息も荒くうなずくと、目の前に置かれた朝食に向かって『いただきます!』と元気に言った。
「あら、今日はやけに気合い入っているじゃない。小テストでもあるの?」
「まあね」
「めっずらしー!勉強に精出すなんて。今日、雪でも降るんじゃない?」
「たまには勉強だってがんばるよ。高校生なんだから」
「毎日その調子でいけばいいのに。そうしたら、テストの点数も上がって良い大学へ行けるのに」
「別に良い大学へ行けなくてもいいもん。そこそこのレベルで楽しくバドミントンできればいいもん」
「良い大学へ行った方が、出世しそうな男と出会える確率がグーン!とあがるのよ。お母さん、できれば美羽には幸せになって欲しいの。だから普通の男より、出世しそうな男を選んで欲しいの」
「はいはい、わかりました。考えておきます!」
言い切ると、私はみそ汁の残りを一気に飲み干し、使った食器をバランス良く重ねた。『ごちそうさま』と言って手を合わせれば、使った食器をシンクの中に入れた。
 母はリビングを出て行こうとする私へ向かって不服そうに『ま、今日もせいぜいがんばって』と言った。自分のプランに賛同してくれないのが面白くないらしい。
(だって私、大学へ行かなくても十分出世しそうな良い男、見つけちゃったもん。勉強に力なんか入らないよ)
頭の中に勇太の笑顔を思い浮かべ、ニンマリした。
(さあ、もっとたくさんの笑顔をもらえるようガンバろっと!)

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