フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

「ちょっとアンタ。さっきの私の話、聞いていなかったの！」
レイナだった。親でも殺されたかのようなスゴイ表情でニラんでいる。いや、他の女子もだ。愛しい男を独り占めにしようとする私が憎くてたまらないらしい。
（このまま逃げても同じことの繰り返しだ。取材の時間は減るけど、ここはひとつちゃんと目的を説明しよう）
勇太の手をほどくと、一つ大きく深呼吸した。一歩前へ踏み出せば、ファンである彼女達をグルリと見回した。
「あのね、私、勇太君を独り占めしようとしていたわけじゃないの」
「どういう事？」
「その…勇太君の日常をブログにつけて、みんなに見てもらおうと思ったの」
「ブログ？」
彼女だけでなく、他の追っかけ女子達もザワザワとざわめいた。怒りの空気もグンと和らいだ。
「そう。ほら、私、勇太君のお世話係でしょ？みんなよりずっと一緒にいる時間が長いから、勇太君の様子を沢山見ることができる。こうして足繁く勇太君の元へ通ってくるみんなを見ていたら、些細な事でも知りたいかと思って。それでブログをつけようと思ったの」
「勇太君は良いって言っているの？」
「もちろんだよ。俺が許可していないのに、こうして取材なんか受けないよ」
「それはそうかも」
追っかけの女の子全員が大きく頷いた。
「でも、どれくらいの期間つけるの？私、趣味でやっているけど、毎日更新するのってけっこう大変だよ」
「そうよ。取材される方だって、『ずっと』ってキツイと思う」
「ああ、そうかも」
私が不安になり考え込むと、すかさず勇太は言った。
「一週間ってどう？」
「一週間？」