フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
 勇太・レイシーは陶器のように肌が白く、肩に届く黒髪は緩くウェーブしていて、アーモンド型の目の真ん中で輝く瞳は、真夏の空のように真っ青だった。また、かけた流行りの細身の眼鏡は制服と同じ深緑色で、彼を知的でセンスの良い男に仕上げていた。
(こんなに隅から隅までカッコイイ男子、始めて見た!)
私は自分がフラれ体質なのも忘れ、他の女子生徒と同じように机の上で手を組み、その上にアゴを乗せ顔を右にかしげると、ボーッと彼を見た。一秒と目を離せない。
「さて、レイシー。せっかくだから自己紹介をしてもらおうか」
「はい」
勇太は頷くと、少し恥ずかしそうに視線をオロオロさせ、何とか前を向いた。心細そうな態度は女子生徒の母性本能をくすぐり、麗を抜かした女子全員がズボッと恋に落ちた。
「初めまして、勇太・レイシーです。誕生日が11月なので、まだ16才です。アメリカは9月から新しい学年がスタートするので、高校2年生での生活は今日が始めてですごく緊張しています」
まるで日本人のように綺麗な日本語でしゃべった。すると『がんばってーっ!』と誰かが言った。見ればコマキだった。彼女は目をキラキラ輝かせながら勇太へ手を振った。
(度胸あるなー!)
「ありがとうございます。なんか、元気が出ました」
勇太はペコリと小さく頭を下げた。
「ちなみに、俺の父さんはアメリカ人で、母は日本人です。つまり、ハーフです。日本語は母から習ったのと独学で勉強したのとで、それなりにしゃべれます。でも、ずっと英語圏に住んでいたので、わからない部分が多いです。みなさんには迷惑をかけると思いますが、少しでも早く慣れるようがんばりますので、どうか仲良くして下さい」
勇太は今度、深く礼をした。
(声の高さ、良い。ちょっと低めでセクシーだもん!)





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