フェアマン～愛しい彼はハーフの男の子～

「そう、一週間ためしてみて、村瀬さんの調子、俺の調子、両方見てみて、その後どうするか考えるんだ。悪くないだろ？」
「うん、いいね」
私が頷くと、勇太は追っかけの女子達を見た。
「みんなにお願いがあるんだけど」
「なにぃー？」
追っかけの女子達は小首をかしげると、全員猫なで声で答えた。私への対応とは天と地の差だ。
「村瀬さんに、冷たく当たらないでくれるかな？」
「えっ？」
今度、追っかけの女子達はギロリと冷たい目で私を見た。
（こ、こわっ！）
「彼女はこれからブログのために色々と俺を取材しなくちゃならない。でもそれは下心があってではない。純粋に『良いブログを着けたいから』だ。だから勘ぐって『先を越されたら困る』とか『あいつ、マジでサイテー』とか思わないで欲しい」
「もし、モーションかけてきたらどうするの？」
「安心して、はねのけるから」
ズキッ、私はショックを受けた。
（勇太君、私の事は、受け入れてくれないの？新垣が言ったとおり、色気が感じられないから？）
「本当に本当なの？勇太君」
「もちろん。バドミントン部の新垣だって、村瀬さんなら俺がハマらないから世話係にしたって言っていた。絶対、ハマる心配はない」
「勇太君がそこまで言うなら信じる」
「この女、嫌いだけど」
「ちょっとアンタ、絶対勇太君に手を出さないでちょうだいよ」
「…はーい」
ファンの女子に言われずとも、私は手を出さないと心に誓った。
　すっかりヘコんでいたから。
（ショック…）
その後、勇太はレイナ達とどこかへ去っていった。私は一人、教室に残った。