眠り姫、目醒るとき
『また負けたー!!』

こだまする声は真秋3姉弟の二番目、和泉。

ギャアギャアと騒ぐ事が多いムードメーカー。


で・・・


オセロで負けたのは姉の美咲とその娘の美雨の連合軍。



通算
58戦全敗の見事な負けっぷり。


もはやプライドなど無くなりひたすら意地のみで挑み続けている。




『弱いわねぇ。和泉』


『むぅぅぅ!次こそは絶対かぁーつ!!』




『いずちゃん』


『ん?』


『あせりすぎだよ。かどとるとき。』


『・・・』


『もーちょい落ち着けばいいのにねー。』
『ねー。』


笑い声の絶えない居間には


・・・彼女がいない。






『美咲ねえ!愛理は?』


『愛理?あぁ、愛理、みやちゃんと電話中。』


『ふーん・・・』

『どうかした?』


『いや、なんでもない・・・』



『ダメよー。あんまりいじめちゃ。』






いじめてなんてない。






ただ


俺は・・・





煮え切らない思いが腹の奥底で渦巻く。






黒くて


どろどろした


嫌な感情







抑えきれなくて

彼女が嫌がるとわかっていることを遂げようと



足をすすめる自分がいた。
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