眠り姫、目醒るとき
『あら、もうかえるの?もう少しいればいいのに。』玄関で母のせれなと何事もなかったかのようにはなす大和。


いろいろな経験をした大和の処世術は生半可なものではなかった。


そこへ



『待ちなさい、大和!!!』

眉を吊り上げ近づくと共に右手をあげていく。

母を通り過ぎた右手を大きく大和の左頬に振り落とした。

バチーン



玄関に響く音に母はびっくりして姉に訊ねた。

『美咲、何かあったの??』


『母さんは愛理をお願い。お風呂にいるから。』

『お風呂?』

『お願い、早く!!』

『と、とりあえず、わ、わかったわ。』

訳も分からずとにかく母はバスルームへ向かった。
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