眠り姫、目醒るとき
『3、2、1、・・・そろそろ』




静かな昼下がり



外から春風が流れ込んで

ベッドの傍の白いレースカーテンが

ひらひら揺れる。






雪のように真っ白だった肌が桜色に染まり、目覚めが近いことがわかる。



暖かく、柔らかい頬。





大和の長い指が撫でるように触れて、温かみを直に感じていると・・・



『・・・いま、何時?』



長い睫毛がゆっくり持ち上がり緑色に似た薄茶色の綺麗な瞳が見え始める。





『おはよう、よく眠れた?』


優しく頬笑みかければ、彼女も返してくれるかのように満面に笑みで応えてくれた。





『うん。・・・おはよう、大和ちゃん』







おはよう、



俺だけの眠り姫・・・









でも、昔から胸のなかにずっと突き刺さっている朿が

毒を広げるかのように


深く広く 食い込んで

ダメージと痛みと苦しみが

じわりじわりと滲み広がる。


時間が経つごとに苦しみが増していく。




苛立ちもあいまって苦しみに拍車がかかる。




きっかけは




ほんの些細な一言。
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