眠り姫、目醒るとき
『このレースが可愛くて買ったのー!』


後向きできゃっきゃ興奮しながら話す愛理。


『ねっ、かわいいでしょ!?ねっ、ね!』

その瞬間くるりと後ろの大和に振り返ろうとする。




『あ、まだだ』

“まだダメ”と言いかけた時にはすでに遅く、絡まったままで振り返ろうとし、おもいっきり髪がひっぱられた。


『うにょぉ・・・い、痛いぃ』


『だから言おうとしたのに・・・』


『だ、だぁってぇ・・・』


天然で、おっちょこちょいな愛理。


さっきだって愛理に対して言ったことなのに、興味もない服のことだって勘違いしている。


でも頭の回転は昔から良くて、みんながびっくりするほどだった。


頭が良くて、美人な愛理。

いつもにこにこ笑って穏やかな性格。

そうかと思えばおっちょこちょいな一面をもつ。





幼い頃に誰かが“どうやったら愛理みたいに完璧になれる?”と聞いていた。


聞かれた本人はびっくりして、苦笑しながら答えていた。



“私は完璧なんかじゃない、【欠陥品】よ”







尋ねた本人が一番びっくりしていた。
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