幸せ。
思わず、携帯と財布だけ持ち、家を飛びたした。

暗い暗い海のそこに落ちていくような、孤独と、寂しさと、虚しさだけが、心にのこる。

今までの、楽しかったことがすべて、黒く、灰のようにちっていった。

絶望…そんな感じ。

…なんで?
…なんで?
そんなことばかり考えてた。

…史哉
紗世の彼氏。
辛いとき、史哉は、ずっとそばにいてくれる。
声が聞きたい。
「―…プルルル 紗世?どうした」
「…史哉ぁ、史哉ぁ…ふぇ…」
「どうしたんや?今から行く。どこにおるんや?」
「いつもの公園だよ…」

――――10分後。
「紗世!」
史哉だ。安心する、あなたの声。
史哉の胸に、とびこんだ。
「…どうしよう、紗世もうわかんない。辛いよ。」
「なんや?はなしてみ?」
史哉にいっても、わからないかもしれない。けど、話してみたいそう思った。
…けど、なくなっちゃいそうで怖い。
なにもかも、紗世から、なくなっちゃいそうで、怖かった。
…でも史哉なら。
「…ママが浮気してる。私裏切られたんだぁ…もう、どうしていぃか分かんない。」
史哉が眉間にシワを寄せながら、私をギューと、強く強く、抱き締めた。
「辛かったな。ごめん。」
史哉は、まったく悪くない。

…ママが悪い。
…ママなんかじゃない。
あの女が悪いんだ。
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