冷徹な傷





…。喋り方がうざったい。
誰よ。




「あ、美香じゃないか。なんで遅刻したんだ?」




「今日は日直でぇ…」




「日直なら誰かに連絡しろ。
そんなこともできねぇのか?」




「…すいません、秋波せんぱぁい…」




あぁ…コイツが愛を貶めたやつね…


確か葉多美香。





「秋波、この人がもう一人の人なのかしら?」




「…いや、こいつのことじゃねぇ。

さっき言ったのはレギュラーのやつなんだが…」







「せんぱいひどぉい!
なんで私のことを紹介してくれなかったんですかぁ?

それにこの人誰ですかぁ?」






うざい喋り方。


まー…大抵の男子はだまされるでしょうね。


なんか苛苛してきたわ。






「自分から名乗るのが礼儀だと思うわ。」




「なんかこの人こわぁい…」


上等よ




「…」






そして、見かねた沖が紹介してきた。




「こっちはマネージャーの葉多美香。

で、こっちは転入生で今日からマネージャーになる瞬鈴院桜華さん。」





「…よろしく。」





「…でも先輩、マネなら私だけでもできますよ。

それに、この前みたいなことになったら私…

また皆さんに迷惑かけちゃいますし…」




じゃあ辞めろよ。




「あれは美香のせいじゃないだろ!」



「そうだぜ!あれは愛がいけないんだ!」



…。


「じゃあ始めるぞ。
葉多、瞬鈴院に仕事を教えてやってくれ。

それと…迷惑かけると思うなら辞めろ。」




「ひどぉい秋波先輩…美香はなにもやってないのにぃ…」




そう言って葉多は俯き声を震わせた。

目の端には涙を溜めて上目遣いに見上げれば…




「ちょっと秋波…言い過ぎじゃね?」




「美香、お前は泣かなくていいんだよ」





なんなんだコイツら。





「そんなやつほっといて部活始めるぞ」







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