冷徹な傷




秋波と別れたあと、
私は家には帰らずに愛のお見舞いに行った。



「愛…待っててね…

私が、私が愛の変わりに復讐してあげるから」


と言って愛の手を強く握った。


愛はそれを握り返してくれはしなかった。






しばらく愛の部屋に居て、帰ろうとしたときに隣の病室から同じ年の男がでてきた。



「やあ。桜華じゃないか」


「あら、雪村じゃない。
久しぶりね」




彼の名前は雪村一。
立夏大学附属のバレー部部長。
立夏は全国大会を三連覇している。



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