二重人格のお嬢様と万能な執事

「どうして言わないんだ……。今まで、何で言わなかったんだよ!」

「えっ……? 何を……?」

「知らなかったんだ……。今まで、リンが苦しんでいるなんて知らなかったんだ! 父さん達は、リンが悪いように言ってたんだ……。他の人が苦しんでるのに、ヘラヘラ笑ってるやつだって、聞いたんだ……」

「ふぅん……。なら、それでいいじゃない……。私には近づかないほうがいい! だから、それでいいのよ……私は独りでもいいの! 私は一人じゃなきゃいけないの!!」

イヤ……。

イヤ……。

私の口からは、嘘ばかり出てくる……。

独りでいいわけないじゃない……。

独りがいいわけないじゃない……。

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