キセキ
二人の噛み合わない会話も温度も
何だか可笑しいね
何度も聞いてる!?と聞く大樹くんに、
うん、聞いてる聞いてると返す遥。
きっと正反対な二人は凸凹みたいに
上手く噛み合うんだと思う
朝の不機嫌な顔に
少しだけ穏やかな表情が浮かぶのを
青い空のように心地良く感じた
30分ほど歩いたら
学校の校門が見え始めて
心が踊る
「ねぇ、ねぇ!」
後ろを振り返り
二人に呼び掛けるとニッコリ大樹と
眠そうな遥
「校門までダッシュ!
ビリはジュースおごりね♪」
そう言っていち早く駆け出した私を、
「あ!ズリー!!」
と言って自転車に跨がり
追いかけてきて
あっと言う間に私を追い越し、
校門を抜けた大樹くんが
ピースサインで振り返る
私も続いて校門をくぐった
「はい、はいッ!」
ニッと笑った大樹くんが
両手を上げて迎えいれてくれて
ハイタッチを交わした後に
遥を見ると歩いてるよ…あの人(笑)
「はい!遥のビリ決定~
ジュース♪ジュース♪」ニコニコの大樹の横を
「チャリ使ってズルしたから大樹の負けね」
と言って通り過ぎる遥
何だかんだで負けず嫌い
えー!!!って叫んでる大樹くんに
意地悪な顔を返すけど、
その表情にほんの少しだけ笑顔が見えた気がして
私も笑顔になり
「大樹くん、ありがとう!」
振り返ると大樹くんも
「遥にやられたー(笑)」
笑顔で返してくれた
暖かい
私達はきっといい友達になれるよね