キセキ

これから


高山さんはまた下を向いていた
気のせいではないと思う

睨まれた理由は大樹と同類だと思われたからか?

それは迷惑な話だ


予鈴がなり
俺達は黒板に書いてある通り
出席番号順に廊下に並び
体育館へと向かった

先頭をあるいて行くのは緊張する
隣を歩く女の子も無意識だろうけど
歩くペースがあがる

俺も合わせようと
少し歩幅を広げ前へ進んだ


軋むパイプ椅子に腰かけ
円滑に進む式を眺める

どこの学校も校長の話は長い
だけどそれ以上に来賓の話も長い


くたびれた


だけど一番前の席で
横には進行係の先生がいる

眠る訳にはいかないか…



式の最後担任紹介があった

名前を聞いた感じでは
俺のクラスは男の先生みたいだ

眠気が限界にきたところで退場のアナウンス

俺はまた先頭を歩く
さっきやたら早く歩いた女の子は
さっきよりも早い

まぁ、保護者の顔と向かい合う訳だからな
気持ちはわからなくもない


少しだけキョロキョロと見渡すと
親父が腕を組んで眠っている

アイツ何しにきたんだ…

その隣には微笑む由梨さん



誰も来てくれなんて言ってないのに



俺は真っ直ぐ前の出口だけを見て
隣の女の子より早く歩いた

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