キセキ

教室に帰り席に戻る
5分ほどして担任が入ってきた

40代くらいの男で
ガッシリした体格にグレーのスーツ
まだ若いのに少し白髪まじりの髪はスポーツ刈りだ

メガネを押し上げながら
自己紹介を始めた

「今日から君らの担任になった藤宮だ
教科は社会科
部活はバレー部の顧問だから
バレー部に入部を希望してる人がいると嬉しいなぁ
これからよろしく!」

簡単な紹介を終えると俺達にも自己紹介をしてもらおうかと提案してきた



「じゃあ…
やっぱり男から男らしくいこう!
出席番号1番!
あいざわ…はるか君?か?」



やっぱり…
俺は黙って教壇の前に立ち
自己紹介を始めた



「あいざわ“よう”です
よろしくお願いします」

少し早口で自己紹介をして席に戻ろうとすると

「そうか!ようか!すまなかったな
最近の子は凝った名前が多くて難しいから、すまんな」

「いえ、慣れてます」

「改めて遥くん、もう少し話してくれよ
俺が質問するから、な?」


俺は渋々また教壇の前へ戻る


「好きな教科は?」

「…歴史は好き」

「それは嬉しいなあ
じゃあ、嫌いな教科は?」

「今はまだないです」

「それは素晴らしい
じゃあ、入りたい部活は?」

「やるんだったらバスケ部」

「バレー部は?」

「あんまり…打ち合うのは好きじゃないから」

「残念だなあ(笑)
よし、ありがとう
次は…猪狩総くん!」 


俺は猪狩くんとすれ違いに
席に戻るなり
また机に伏せて目をつぶった

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