Genesis of Noah
「おはよーレイラ。」
学校に着くと一番にカイリスが声をかけてくる。
いつもどおりの朝だ。
「昨日、母さんから聞いたんだけど、ゴミ捨て場でまたロイが遊んでたって…」
カイリスの言うゴミ捨て場とは、廃棄物処理場のことだ。
再生のできなくなったものが、そこには集められている。
時には大破して修繕が不可能になったボディのパーツやデータのディスクも運ばれることもある。
大抵は業者しか出入りをしない場所のため、普通なら近づくこともない。
しかし、はるか昔から様々なものがそこに廃棄され続けているため、時より珍しい品を掘り起こすことがあり、ロイは時間を見つけてはその場所へ通っていた。
「どうしてカイリスのお母さんにはロイの行動が分かるの?」
「さぁ…??」
あの場所へ近づくはずはないし、カイリスの家の生活圏からは完全に外れた場所だから、すれ違うこともないはずなのに…
それがレイラにとってはいつも不思議でならなかった。
「そんなことより、今度は何か見つけたの?」
カイリスもロイの宝物を小さい頃から見てきたためか、その発掘に興味があるようだ。
レイラは笑った。
「まだ何も…でも、面白いものを見つけたから、今日掘り起こすって言ってた。」
「じゃあ、帰りにレイラの家に寄っていい?」
いいよ、と答えようとしたレイラの上に、黒い影が覆いかぶさった。
「お前らバカじゃねーの?」