亮平のおもちゃ
 『おい。ちゃんと昼飯は食ったか?』

亮平からそうメールが届いたのは、昼ちょっと過ぎだ。信濃美樹に会いたくなくて、屋上
で授業をずっとサボってたら、気づかないうちに昼になってたみたいだ。

「亮平…」

愛してる。
寂しいよ。
電話が欲しいよ。
でも、電話、欲しくない。
だって、俺、汚れてるもん。いろんな男に回された。
メール、もっといっぱいほしいよ。
でも、欲しくない。
汚い俺は、亮平にメールを返せない。



 ♪~♪~
昔、亮平が教えてくれた、愛を語った歌。
亮平の着メロ。
俺は無視した。
だけど、1度切れても、亮平は何度も電話してきた。
俺は辛くなって、自分で切った。
 しばらくすると、
ピリリリリ
と非通知の電話がきた。

「はい。誰。」

順平かな?と思いつつ、電話にでた。

「俺だけど。」

出たのは亮平だった。
ビックリして電話を切った。
 しばらくして、メールがきた。

『おい、電話でろよ。
いい加減うぜぇぞ。
俺、何かしたか?
早く出ろ。
お前なんか変だぞ。
何があった。』

また、涙が止まらなかった。
俺、最近涙腺がユルイ。すぐ泣く。かっこ悪い。
俺って、亮平の隣に立ってていい人間なのかな?
次第にそう考えるようになった。
 
< 10 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop