亮平のおもちゃ
「なッ…な、なんで、俺と亮平が…ヤ…ヤ…」
「あぁ、なんでヤッた事知ってるか?」
「ち、ちち、違う。ヤッてない。な、なんで、そう思うか、聞いてる…んだ。」
動揺して、言葉が詰まる。
亮平が、居なくなるなんて、俺はいやだ。
けど、信濃美樹とも付き合いたくない。
「あのね、美樹ん家の近くであった日、たっちゃんが走っていったの、追いかけたの。あ。勿論チャリだよ?帰宅部って言っても、たっちゃんすごく運動神経いいじゃん?で、順平ん家に入ってから、ズット近くで見てたの。そしたら、原田先生きて、しばらくしてから、たっちゃんがお姫様抱っこされて出てきて、学校の前で張ってたら、出てきたとき、たっちゃん幸せそうな顔してたから…。」
…そんな顔、してたんだ。
「し、してないよ、俺。亮平となんか、ヤッてない。」
「嘘。だって、あきらかに動揺してるし、さっき押し倒したとき、たっちゃん、泣きそうだった。このベッドでヤッたんでしょう?妬けるなぁ…。」
そう言って、信濃美樹は俺の腕を引っ張り、ベッドへと引き戻す。
俺はまた、肝心なときに力がでない。
でも、このベッドを汚したくない。
そう思うと、また力がみなぎった。
俺はまた信濃美樹を突き飛ばして、全力疾走した。
あぁ、やっぱり、俺の力の源は亮平なんだ。