亮平のおもちゃ
『ばかやろう。
早くメール返せ。
何してる。
授業サボったって?』
何があった。
電話しにくいなら、メールで良いから。
言いなさい?』
家に帰って、携帯を見ると、亮平のメールで埋まっていた。
全部、俺を心配したメール…。
『別に。
何も無い。』
そう送って、俺は後悔した。
冷たいし、嫌われちゃうかも…。
そう思った。
だけど亮平は優しい言葉で返してきた。
『そうか。
だったら良いんだ。
ただ、辛くなったら言いなさい?
あと、俺保健の授業も担当できるようになった!
これで教室でも会えるね?』
俺は最後の2行を何度も読み直した。
亮平は、小さい頃から教師になるのが夢だった。
せっかく叶った夢を…
俺が壊すわけにはいかない…。
亮平。愛してる。愛してるから…
バイバイ。
俺はクラスの連絡網から、信濃美樹の番号を探し、電話した。
「もしもし?信濃です。」
「あ…、えっと、美樹さん居ますか?」
女の家への初めての電話に少し緊張する。
「あー。たっちゃん?ふふふ、やっぱり、電話してくると思ったよ?」
「つ…付き合うよ。お前と、だ、だから、亮平には手ェだすなよ。」
俺はそう言って、電話を切った。