亮平のおもちゃ


「ねぇ、美樹のこと…好き?」

「ん?好きだよ?」

「嘘。」

「うん、嘘。」

学校帰り、いつもの図書館、いつもの席、いつもの会話。
最近、美樹は同じことしか言わない。

「どうしたら達也は、原田先生の事諦めてくれるの?」

「どうしたら諦められるんだろうね。」

俺は資料集をやる手を止めずに答える。

「ねえ、なんで忘れられないの?」

「わかんない。俺は忘れてるつもりだよ?」

「だめ。つもりなんて…。達也、原田先生にこだわり過ぎ。」

「チガウ。美樹がこだわり過ぎ」

俺は資料集を次のページへめくる。

「忘れてるって言ってるのに、忘れてないよって言う。俺はこだわってない。」

「だって達也、美樹のこと、すきじゃない。」

「でも嫌いじゃない。美樹がソレを望んだんだよ。」

我ながら冷たい言い方だ。

「あの時は、ごめん。本当に反省してる。美樹はただ…、達也のこと…。」

美樹の目に、涙が浮かぶ。
俺はソレを見て、すこし反省して、美樹にキスをした。

「も、良いよ。終わったことじゃん?それより、勉強しないと、テストやばいんじゃなかったの?」

「…ん。がんばる。」



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