亮平のおもちゃ
ばいばい
そう、あれは結婚式が終わって、4日が経ったときの事、いつものように俺は、美樹と一緒に居た。
「…ごめんね。結婚式、無理やり行かせて…。ただね、美樹は達也に早く原田先生の事、諦めてほしかったの。忘れて欲しかったの。」
「いいよ。別に…。でも、忘れんのは…無理。小さい頃から好きだったんだ。諦められるけど、忘れんのは…」
「うん。わかった。…でも、原田先生は酷い…。結婚までしてるのに、まだ達也を支配してる。……達也は、達也は、美樹の達也だよ?」
「…。」
俺は言葉がでなかった。
もぅ、亮平のことは諦めた。だけど、まだ愛してる。
それに俺は、俺のものであって、美樹のじゃない。
俺が玩具になるのは、亮平のものになったときだけ…。
美樹の玩具には…なれない。
「おい、てめぇらイチャイチャしてんな。集会だぞ。」
順平が廊下から顔をだして、俺たちを呼ぶ。
「おぅ、今行く。…行こ?美樹。」
「…うん。」
「えー。今日は、とても言いづらいんですが…、残念な…、悲しいお話が…あります。」
ながったるい校長の話。校長は真っ赤に腫れた目でそう言った。
少し、胸騒ぎがした。
「新婚旅行へ行っていた、新見先生と原田先生ですが…、飛行機が墜落し、新見先生は重症…、原田先生は…お亡くなりに、なりました。」
ザワッと、体育館がざわめく。
多数の女子のすすり泣く声。
あぁ…亮平って、女子生徒にモテモテだったんだ。
俺は、泣かなかった。
いや、泣けなかった。
なんでだろーな…。
すんげぇ胸は、チクチクして苦しいのに…。
亮平に抱いてもらいたい。