亮平のおもちゃ

 総合病院に着いて、元新見先生の病室へ向かった。
すると、新見先生は、片目に包帯を巻いている状態だった。

「相馬君…来てくれて…ありがとう。」

「い、いえ。あの、話って?」

「うん。…原田先生、まだ確実に…は、死んで…ないの。」

「え。」

「意識が…もどらないの。…助けてあげて。…カレ、まだ、相馬君、好きだから。」


 俺は、逃げ出してしまった。
確かに、会いたいって気持ちはあった。
…あったけど、意識不明の状態で、亮平には会えない。
また、苦しい思いをするだけだ…。



 次の日、学校で俺は、順平に相談をした。

「どう思う。…俺、会ったほうが良いのかな。」

「うーん…、俺は、あって欲しくない。」

「何で。」

「お前を取られたくない。」

「…。」

「…。」

沈黙が続いた。
たしかにそうだ。意識はなくても、今あったら、本当に俺は壊れちまう気がする。

「なぁ、俺さ、ずっと言いたかったことがある。」

「ん?」

「お前さ、俺じゃなくても、良かったんだろ?そゆの、俺ホント辛い…。」

順平の声は震えていた。
顔をあげると、順平は泣いていた。
初めて順平の涙をみた。
…そっか、俺、順平の気持ち、踏みにじってたんだ。

「…ごめん。でも、好きなのはホント。…友達としてだけど。」
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