亮平のおもちゃ
さいかい
結局俺は、亮平に会いに行くことにした。
あの時、順平は泣いた。どんなに辛くても、泣くのをこらえる、俺と違って強い順平。だけど、その順平は泣いた。
よく考えたら、当たり前だ。
俺は、順平を利用してたんだから。
美樹のことも。
俺はいろんな人を利用しまくっていた事に気がつく。
いろんな人の気持ちを踏みにじって、そのくせ俺は助けを求めてた。
…最低だ。
ぷっ、ぷっ、と亮平の息にあわせて機械音がなる。
「亮平…。」
涙があふれる。
特に何の外相も無い亮平。墜落のときに新見をかばったって聞いてたから、もっと傷だらけだと思った。
けど、怪我をしずらい体制をとったんだろうな…。亮平は頭がいいから…。
「よかったら、手を握ってあげてください。こういった患者さんは、身近な方の声やぬくもりに目を覚ます方が多いんです。」
看護師にそう言われた俺は、眠ったままの亮平の手を握った。
看護師は気を利かせて、病室から出て行った。
「亮平…。ごめん。俺、亮平の事、嫌いになんてなってないんだ。今でも大好きだよ。愛してるよ。…だから、目ェさませよ。馬鹿野郎…。結婚しちまってるから、もぉ付き合えないのはわかってるから…。だけど、目ェ覚ましてくれよ。…辛い。」
ぷっ、ぷっ、と機械音は続く。
亮平が息をしている証拠…。だけど、辛い。
「亮ちゃん…。」
俺は涙をこらえられなかった…。
俺の涙は、俺の手から亮平の手へと伝う…。
漫画だったら、ここで亮平は目を覚ますだろう…。
でも、そんな奇跡は起きなかった。
「亮…平…。」
俺は、亮平の綺麗な寝顔にキスをした。
唇が、熱かった。