亮平のおもちゃ
「ごめん。俺は、美樹のことは好きだよ。だけど、愛すことは無いと思う。だから…別れて。」
次の日の朝、俺は学校へ着くなり、美樹に別れを告げた。
「…どして?原田先生のこと、愛してるから?」
「うん。…それに、やっぱ内心、美樹に対して恐怖があるんだ。」
「…ん。そだよね…。でも、…別れても、友達では居てくれる?」
「うん。」
俺は泣き出した美樹の頭を撫でた。
ごめんね、ごめんね、ごめんね、美樹。
美樹も、美樹なりに一生懸命で、辛かったんだよな。
美樹が泣き止み、教室へ行くと、目を真っ赤に腫れさせた順平が居た。
「…え。順平どうしたの?泣いたの?…まさかね、10年間一緒にいるけど、泣いたこと、1度もないもんね。」
10年間も泣かなかったというのは初耳だった。
「…ま、まぁな。俺が泣くわけねぇだろ?ただの寝不足だよ。」
順平は美樹の問いに、俺をチラッとみてから、二カッと笑って返事をした。
さっきのチラ見は口止めだろうな…。順平は結構プライドが高いし。
『ごめん。』
俺は順平に、初めてのメールを送った。
返事は、授業中に返ってきた。
授業中に携帯を見てたのは、亮平からのメールを読み返していたからだ。
順平からのメールには、こうあった。
『いや、別にいいよ。
ただ、友達で居てくれるだけで十分だ。
原田の意識、早く戻ると良いな。』
涙がでそうになった。
でも、がんばってこらえた。
昨日、亮平の顔を見たとき、もう泣かないって決めた。
亮平に、俺がこんなに弱っちくなってるってバレたら笑われるから。