亮平のおもちゃ
結局、新見と原田先生は結婚しなかった。
理由は知らねぇけど、俺は関係ないみたいだったから、口出しはしなかった。
何があったかわかんないけど、順平は美樹と付き合い始めた。
美樹は、順平と一緒にいると、ツンデレだ。俺と亮平の関係を狂わせたのは美樹だけど、俺は美樹が嫌いじゃない。順平は、美樹に振り回されてる感じ。ちょっと恐い思いはしたけど、俺と亮平を結ばせてくれた奴。俺の1番の親友。
「おはようございます。相馬君?下げパンしすぎじゃないですか?」
「あ?うっせえよ。コレくらいフツーだっつの!」
いつもの学校。いつもの朝。…いや、いつもの朝ではないかな。
始業式の朝。いつものやりとり。
こんなことしてられんのも、卒業までの1年間。
よく考えたら、亮平と付き合った期間は短かった。
去年の夏休みも、順平と過ごしてたし、意外と付き合ってた時間は短い。なのに、俺の中の思い出は、亮平だらけ。
大丈夫。俺はモテるみたいだし、その気になれば、なんとかなる。
それで良い。
亮平が幸せなら、それで良いんだ。
玩具は持ち主の幸せを願う。
そうだろ?
「おい、原田ぁ!」
「こら、先生を付けなさい!何度言ったらわかるんだ、君は。」
いつもの亮平、いつものやり取り。
「ばぁか!」
亮平はやれやれ、といつものように笑った。