亮平のおもちゃ
「何泣いてんだよ、たつ。」

「亮平!亮平!りょうへー!…ぐすっ。馬鹿!…俺が、どんだけ…どんだけ、苦しんだと思ってんだよ?…俺が、どんだけ待ったと…。…馬鹿野郎!」

「ははは。ごめん、ごめん。…おまたせ?」

亮平が優しくそう言ってひろげた腕の中に、俺は飛び込んでわんわん泣いた。
亮平の匂い。
久しぶりの亮平の腕の中。

「一生俺の玩具。そう、言っただろ?」

「馬鹿。俺は玩具じゃねぇ。人だよッ。しかも、誰が…亮平の物だよッ。俺は、俺だッ。」

「知ってる。達也は達也だから、俺はお前が大好きなんだよ。」

亮平はそう言って、俺に熱くて甘いキスをした。

「うん…、おかえりッ」

「ただいま…。」




 俺はもう、2度と亮平を離さない。
だって俺は、亮平の玩具。
ご主人が俺を捨てない限り、俺は玩具であり続けるんだ。
だからズット俺の隣は亮平で、亮平の隣は俺なんだ。


 次の日、俺は満面の笑みで保健室へ向かう。

「りょうへー!…え。」

目の前に広がる光景に俺は絶句する。
女子生徒と亮平がキスをしている。

「…。」

女は、無言で立ち去る。
亮平も、何事もなかったかのように、書類になにかを書いている。

「な、何。今の?浮気じゃん!…馬鹿!」

「チガウ。勝手にされたんですよ。馬鹿に馬鹿とは、言われたくないものですね。」

「はぁー?」

俺は学生。アイツは教師。
俺は学生でアイツは成人。
俺は男で、アイツも男。
それにアイツはモテモテだから。
俺の悩みはこれからも尽きそうにはない。
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