マリモドール
またマリモ人形は語り出した。


10年前。
北海道の旭川市。

13歳の彼は神社の主の息子であり、アイヌ一族の末裔だった。

だが今の両親は本当の両親ではない。

彼は生まれてすぐ、捨てられた。

シャクシャイン像の前に。

拾われた彼を包んでいたものがアイヌのあの独特の民族衣装だったという事が彼がアイヌの末裔である事を物語っていた。

そして14歳の誕生日の日。

いつも通り神社の落ち葉を掃いていた。

すると、神社の鈴が突然がらんがらんと派手に音を立てた。

その音が頭を叩いた。

「ぅ・・・わぁぁ・・・ッ」

彼は意識を失った。

落ち葉が雪の様に降り、それと同時に彼の意識と体をどこかにさらって行ってしまった。





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