星の数だけ



どれだけ泣いたんだろう。


恵斗のお父さんが私にタオルを渡した。


「恵斗…手冷たいですね。」


お母さんはまた泣き出してしまった。


なぜか私は驚くほど冷静になった。


「美桜ちゃん、あっちで少し話そう。」


お父さんに言われて私はコクりとうなずいた。


「母さん、お茶いれてくれ。」


「はい。」


お父さんに言われてお母さんは台所に行ってしまった。


「気つかわないでください。」


「いや、いいんだ。
美桜ちゃんも恵斗の死に驚いただろう。
けど現実だから恵斗の死を受け入れてほしい。
私たちも、まだまだ信じられないけど事実なんだ。」


「はい。」


お父さんが言う通りこれは現実なんだ。


「どうぞ。」


お母さんは涙をこらえながらお茶をだしてくれた。


「いただきます。」


「恵斗ね、最近毎日笑顔だったのよ?
美桜が高校いくために勉強がんばってるんだって。
最後に笑顔でアイツと結婚すんだって照れて笑ったのが恵斗の最後の姿だったの。」


私の涙がテーブルにおちる。


「最初に渡したいものがあるんだ。」


お父さんはそう言って小さな紙袋を私に渡した。


「これ、なんですか…?」


「開けてみて。」


袋の中を開けると封筒と小さな包みが入っていた。


包みを開けると片翼のネックレスが入っていた。


封筒には恵斗の字で
美桜へ
と書いてあった。


封筒を開けると手紙が入っていた。
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